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田ノ上観音堂のしだれ桜(たのうえかんのんどうのしだれざくら)
木祖村天然記念物の枝垂れ桜は木祖村小木曽地区の田上観音堂境内にあります。村内最大の巨木であり、樹齢約700~750年、樹高約17m、枝張り約17m。見頃は4月下旬~5月上旬で、樹姿端麗のこの木が淡紅色に開花した盛りには、かたわらのかや葺き屋根のお堂と相まって見事です。この木にはこんな逸話が残っています。「ある年、旅人が飛騨の国より観世音像を背背負い田ノ上の庄屋へ泊めてもらいました。翌朝、出発するとき、この仏像が大地にはりついて動かせなくなりました。旅人はこれは飛騨のある寺の本尊であると言い残し旅立ってしまいました。田ノ上の人達は現在の地にお堂を建て安置したといわれます。数年後、老人が風呂敷包みを背負いやってきて、観世音像にひざまづき「飛騨の玉麟でございます。しばらくの間お守りをさせていただきます」と言い、お堂にすみつきました。丸太の切ったものを持ち込んで、昼夜の別なくお経を唱えながら彫刻し、立派な木魚を作り近所の人達に「この土地は平穏にすごせましょう」といって渡しました。更に腰にさげていた印篭から黒い粒を取り出し、「観世音様のおられた飛騨の国分寺の前に毎年美しい花を咲かせていた枝垂桜の種でございます。お堂の前に蒔きますから大切にお育てください」とお経を唱えながら種を蒔き終え旅立っていきました。現在も枝垂桜の老大木が1本、毎年美しい花を咲かせており、この木は木祖村の天然記念木に指定され保護されています。
(写真は木祖村役場から提供)

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